大谷選手をはじめとした日本の選手達が大活躍して盛り上がりをみせたWBCでしたが、
個人的に気になったのは通訳者 水原一平さんの存在でした。
そこで、今回は水原通訳の経歴とともに、通訳という職業に注目してみました!
通訳者:水原一平さんの経歴
出身は苫小牧市。1991年、6歳の時に父親の仕事(和食の料理人)の関係でアメリカに移住。
2007年にカリフォルニア大学リバーサイド校を卒業。
大学卒業後はアメリカの日系企業に就職しますが、すぐに退職して通訳の道へと進みました。
ロサンゼルス・ドジャーズに所属していた野茂英雄選手の活躍によってMLBの通訳に興味を持ったそうです。
2012年2月に岡島秀樹選手の専属通訳としてニューヨーク・ヤンキースに採用されますが、
岡島選手が契約解除となったことに伴い、水原通訳の契約も解除されてしまいます。
2012年に北海道日本ハムファイターズの球団通訳の募集に応募して合格し、
外国人選手の通訳や生活のサポートを務めることになります。
2017年、大谷翔平選手がロサンゼルス・エンゼルスに移籍したことに伴い、大谷選手の専属通訳としてエンゼルスに所属。
通訳以外にも運転手やキャッチボールの相手など、公私にわたり大谷選手をサポートしています。
2021年11月にロサンゼルス・エンゼルスから「MVI」(最優秀通訳)に選出されました。
通訳者の仕事
仕事の内容
異なる言語を使う人達の間に入り、話されている言語を相手方の言語に訳し、相手に伝える仕事です。
交渉や会議などに立ち会って双方の話の内容を正確に訳し、相手に伝えます。
少人数の人が日常的な話をする場合などには、相手の言っていることを相互に伝えたり、話し手がしばらくの間話したことを記憶して伝えたりします。
通訳者の活躍の場は、国際的な会議や講演会、スポーツ選手や有名人が来日した時、ビジネスシーンにおいては社内および社外の会議、商談、商品のプレゼンを行うなど、多岐に渡ります。
ちなみに・・・先日のWBCにおいて、水原通訳は大谷選手の通訳としてではなく、チームスタッフとしてチームに帯同していました。
通訳者の収入
水原通訳のようにトップメジャーリーガーの専属通訳となると少し事情は異なりますが、
一般的な通訳者の収入は300-600万円と言われています。
通訳者は働き方や実力によって年収に差が出ます。
フルタイムで仕事を受ければそれだけ収入は上がりますし、育児中などの理由で仕事を受ける量を減らせば、その分収入も減ります。
また、通訳者のスキルによっても報酬は変化します。
実績があって重要な国際会議の通訳を任されるようなトップレベルのフリーランス通訳者の場合、年収は数千万円と言われています。
企業内の通訳など、会社や団体に所属して働く場合は、フリーランスの通訳者に比べて安定した収入を得ることができます。
通訳者の未来
スマホの通訳・翻訳機能だけなくAI(人口知能)を搭載したロボットも登場し、通訳機能の進歩は目覚ましいものがあります。
やがては通訳の仕事もAIに奪われてしまうのでは・・・と心配する声も少なくありません。
しかし、言語はそれぞれ固有の文化が背景にあるため、単語ごとに完全に一致する他言語が全てにおいてあるわけではありません。
そのため、言語以外の情報を汲み取って適切な訳語を選択していくのが通訳の仕事の重要なところです。
スムーズに訳すためには、それぞれの国の文化や精神、歴史的な背景も熟知し、さらにそれらに働く人の心も理解しておかなければなりません。
話し手の表情や声の調子、それ以外のボディランゲージに多くの情報が含まれており、それを汲み取ることがとても大切であると言われています。
例えば、「NO」という言葉を一つを取っても、遠慮気味に発せられた場合と、強い意志をもって語られた場合では、伝えたいことは異なります。通訳者としてはその感情をも含んで訳さなければならないわけです。
AIとの差別化をしていくには、人の心を理解し、コミュニケーション力がある通訳者を目指す必要があります。
通訳者になるためには
進学先は?
一般的に、大学の外国語学部や、通訳の専門学校に進学して語学力を身につけます。
高度な語学力が不可欠で、ネイティブに近いレベルまでしっかり習得する必要があるため、大学や大学院の語学学科を修了しているケースが多いようです。
豊富なボキャブラリー、正しい発音、聴きとるスキル、話す能力など、通訳者には高い言語運用能力が求められます。
ただ外国語が得意なだけでは通訳者は務まらないことから、通訳としてのスキルを学ぶために通訳養成学校へ通い、通訳者を目指す人も多いです。
必要な資格はある?
意外に思うかもしれませんが、通訳者として仕事をするのに必要な資格はありません。
通訳者として働く方、もしくは通訳を目指している方の実力を測る試験として「ビジネス通訳検定(TOBIS)が実施されていますが、この資格を持っていないと通訳の仕事ができないというわけではありません。
通訳者に必要な英語力の目安は、TOEIC900点や英検1級レベルと言われています。
英検1級は二次試験で少し高度な内容のスピーチを行う必要があるので、英検1級取得を目指す過程で、ある程度高いレベルのスピーキング力をつけることができます。
子どもの頃にやっておくこと
国際化が進む中、通訳になるという夢を描いている子どたちも多いかと思います。
また、大谷選手が注目される中で、いつも隣にいる水原一平さんの姿を見て「通訳になりたい」と思っている子どももいるかもしれません。
通訳と聞くと、帰国子女であったり、留学経験があったりしないとなれないのでは?と思っている方もいると思います。
でも、実際は帰国子女でなくても、留学経験がなくても、通訳者という仕事に就いている人はたくさんいます。
通訳者に求められる「話・文章の内容を理解する力」、「日本語(母語)の活用能力」、「専門知識」などのスキルは、日々の努力で身につけられる部分が多いからです。
また、現役の通訳者の中には、語学力よりも日本語力が必要と仰る方もいます。
日本で生まれ育ったことは、通訳者になった時に強みになる可能性もあります。
通訳者を目指す日本で暮らす子どもたちが、小学生・中学生の頃にやっておくと良いことを紹介します。
日本語力をのばす
どんな言語の通訳者でも必須になるのが、日本語力です。
日本語力とは、日本語を理解し、自然な日本語を使える能力のこと
日本語力がある人は、相手や場面に応じた言葉の使い分けができ、語彙力、表現力などが備わっています。
通訳者になるためには、高い日本語力が必要です。
本を読む
ありきたりですが、日本語力をのばすための近道です。
読書をすることで、語彙や知識の両方を増やすことができるからです。
語彙をインプットする以外にも、文章を読み解く力(読解力)が鍛えられます。
言葉を扱う仕事をする以上、本を読むのは小さい頃から身につけておきたい習慣です。
言葉をアウトプットする
日本語力をのばすためには、言葉をアプトプットすることも重要です。
書いたり話したりすることで語彙が増え、それを使える能力(語彙力)も向上します。
読書でインプットした語彙を、実際にアウトプットしましょう。
アウトプットすることで、使用語彙も増え、表現力が身についていきます。
- 日記や読書感想文、友達への手紙など、文章を書く
- 学校であったこと、一日あった出来事を話す
といったことも有効です。身近なことから続けていけると良いですね。
知的好奇心をのばす
通訳者は様々な分野の通訳を扱う機会があるため、準備の段階で様々な知識を習得することが求められます。
日頃から様々なニュースや分野に興味を抱くといった知的好奇心が求められます。
知的好奇心とは、興味や関心を抱いた物事に対して「もっと知りたい」「知識を深めたい」と感じる動機のこと
「なぜそうなるの?」とさらなる情報を求める姿は、その後の学習意欲や主体性、探求心に大きく影響します。
自然に触れる
大自然の中で遊ぶことによって知的好奇心は育まれます。
生きものや植物を観察したり、水や風を感じたり、自然と触れる体験は「なぜ?」「どうして?」と感じる機会をたくさん提供してくれます。
海や山や川に行くことで地理や気象に興味を持ったり、環境問題に関心を寄せたり、様々な分野に興味が広がっていくことでしょう。
色んな場所へ出かける
アンテナを広げる機会をつくることで、知的好奇心を刺激することができます。
動物園、博物館、美術館、水族館などを訪れると、新しい発見があるでしょう。
普段の生活では得にくい、今ままで知らなかったことや細かい情報を知ることができるはずです。
コロナ禍以降、旅行に行く機会は少なかったと思いますが、少しずつコロナ以前に戻ってきています。
可能な範囲で旅行に行くというのも良いでしょう。知らない土地に行くと必ず新たな発見があります。
旅行に行く前に、各地の魅力がわかりやすく紹介されている写真つきのガイドブックを見ておくと、知識とリアルの世界がつながり、印象深い経験になります。
英語(外国語)を好きでいる
通訳者になりたいという夢をもち、英語を勉強していても、その思いが途中で途絶えてしまうと夢は叶えられません。
実は筆者は小学生の頃に「英語の通訳者になる」という夢をもっていました。
でも、中学生・高校生になるにつれ、英語が好きではなくなってしまい、結果的に全く関係のない仕事に就きました。
好きでいつづけるというのは案外難しいものです。
海外の映画や音楽に触れる
外国の作品を観ることで、楽しみながら英語に触れることができます。
日常で使えるフレーズを覚えたり、ネイティブの発音を聞いたりすることもできます。
楽しみながら英語の学習をすることができるので、苦になることがありません。
はじめは英語を聞きながら日本語字幕をみることで内容を理解するようにして、慣れてきたと感じたら英語の字幕で観てみると良いでしょう。
好きなことに英語を取り入れる
自分の好きなことや興味があることにに英語を取り入れることで、自ずと英語に触れる機会が増えます。
ゲームが好きだったら、英語のゲームをしたり、英語を使ってオンラインゲームをしたりする方法があります。
サッカーが好きだったら、「英語を使ってサッカーをする」というスクールもあります。
英語が好きじゃなくなりかけても、自分の興味のある分野×英語であれば、意欲的に取り組むことができると思います。
目標を立ててクリアしていく
目標を立てることは、未来の姿を思い描くことです。
目標があればやるべきことが明確になるため、子どものやる気を引き出すことができます。
目標を達成するとモチベーションが上がり、成功体験を積むことで自信にもつながります。
例えば、小学生の頃から英検を受け、「〇年生で〇級に合格する」といった目標を持つのも良いでしょう。
「親子で英検に挑戦」というように、親子で目標に向けて頑張るというのも良いですね。
まとめ
侍ジャパンのチームスタッフ 水原一平さんの活躍を見て、通訳者について調べてみました。
通訳者になるには外国語(英語)が好きというのは大前提かもしれませんが、好きというだけでなれるものでもありません。
大切なのは「通訳になる」という夢を持ち続け、夢の実現に向けて努力することです。
子どもが「通訳になりたい」という夢をもっていたら、私たち親は何ができるでしょうか。夢を叶えられるように最大限サポートしていきたいですね。
通訳者という職業を知るために本記事を役立てていただければと思います。